駅で働いてる人って、どんな仕事してるんだろう?
朝、電車に乗る時ホームに立ってる駅員さんがいるわ。改札口のところにもいるわよね?
駅で働いていた あまなっとが、駅係員さんの仕事について教えるよ~。
皆さんは『駅係員』と聞くと、どんなイメージを持たれますか?
制服を着て帽子を被っている、ホームに立っている、改札で仕事をしている、など、大体このようなイメージが一般的ではないでしょうか。
私は、鉄道会社で18年勤務しました。駅では4年間働いた経験があり、この間にとてもたくさんの経験を得ました。(本当に色んなことがありました。)
『駅係員』が駅でどんな仕事をしているのか?、鉄道員にとって駅での仕事とはどんな意味合いを持つのか?、ということについて、駅係員として働いた自身の経験を基に解説します。
『駅係員』の仕事にちょっぴり興味が湧いた方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事を書いている「あまなっと」です。鉄道会社に18年勤め、車掌や運転士をやってました。現在はインフラ系のSEをしています。私のプロフィールはこちらです。
鉄道員にとって駅での仕事とは?
『駅係員』という仕事は、鉄道会社で働く人にとってどんな意味合いがあるのでしょうか?
鉄道会社に入社すると、基礎的な研修等を受講して、まずは駅での仕事から始まるパターンが多いです。(総合職、運輸系、技術系など、採用形態や職種によって異なります。)
そのため、駅には新入社員や中途採用で入社した、新人さんが多く集まります。たくさんの人が、駅での仕事を通じて、鉄道の仕事を学んでいきます。駅は、鉄道員として成長していく始まりの場所でもあると言えます。
駅で経験を積んだ後、乗務員として車掌や運転士になったり、間接部門で仕事をしたり、出世して管理職になってまた駅に戻ってくる、なんてパターンもあります。
自分も入社して、まず最初に駅で4年働きました。分からない事だらけで大変でした~💦
駅係員の仕事内容は?
『駅係員』は、駅でどんな仕事をしているのでしょうか? 順番に見ていきましょう。
改札口での業務(改札)
改札の業務は、改札を通られるお客様への応対が主な仕事です。
券売機の案内や乗り越し清算、目的駅までの乗換経路や、駅の出入口の案内なども行います。
他にも周辺情報の案内や、忘れ物や運賃の問い合わせ対応なども行います。
様々な業務に対応するため、小さな改札部屋には案内用の資料がギッシリと配備されており、活用しながら業務を行っています。
「〇〇病院はどうやって行くの?」とか、「△△行きのバスはどこから乗るの?」とか、めっちゃ聞かれるので、調べて案内してるうちに、自分の家の近所よりも勤務駅周辺の地理に詳しくなりました。
窓口でのきっぷ発売など(出札)
窓口での主な業務は、お客様に乗車券類を発売することです。(出札と言います。)
普通乗車券類、特別企画乗車券(お得なきっぷ)、定期券など、たくさんの種類を扱うので、知識が求められます。
きっぷ発売時に駅員さんが操作している端末は「マルス」端末と言います。
マルス端末を操作するにはある程度の技能が必要です。また、誤発売や現金授受誤りがあってはないないので、窓口での業務には知識・技能が求められます。
マルスはめちゃくちゃ勉強したなぁ。最初は遅かったけど、段々操作が早くなり、お客様を待たせることも少なくなりました。(それでも失敗はたくさんありました、、💦)
ホームでの業務
ホームでの業務は、安全確認のための監視や、体調を崩した乗客や車椅子で乗車する人などの介助、電車発着情報のアナウンスなどが主な業務です。
事故や災害時には、遅延、運休、振替輸送に関する情報を案内します。
駅の規模や乗降人数によりますが、朝・夕の通勤ラッシュ時間帯にホームに立つことが多いです。
初めてホームと列車の間に人が落ちたのを見た時はビビりました、、!(すぐに非常ボタンを扱い、大事には至りませんでした。)ホームでの業務中は色んな事が起きるので気が抜けません。
非常ボタンを「押す」じゃなくて「扱う」なのね~。
その他の業務
駅では、他にも様々な業務を行っています。以下の主な4つを見ていきましょう。
構内のアナウンス、巡回
列車に遅延が発生した場合は、お客様への情報提供のため、構内アナウンスを行います。(お客様の呼び出しや、きっぷの取り忘れ、係員に対しての業務放送なども行います。)
また、適宜コンコースやホームを巡回し、異常がないか確認したり、ポスターやパンフレットなどの掲示物を取り替えたり、清掃を行います。
締切作業
意外かもしれませんが、駅にはたくさんのお金が集まります。改札で収受する乗り越し運賃、窓口で購入頂いたきっぷの代金、券売機や精算機に投入されたお金などです。
売り上げ金のデータと、実際のお金の金額が一致しているか、一日に一回(もしくは複数回)「締切作業」を行って確認します。
金額が一致していないと、原因追及に時間を割いたり、報告書を作成したり、不足分を自腹で払ったり(弁納)する必要があるので、緊張の一瞬でした。(弁納は昔の話で、今はそんな制度はありません(-_-;) 多分、、)
事務作業
駅には落とし物や忘れ物が多く届けられます。(皆さんも1度は届けたことがあるのではないでしょうか?)忘れ物の管理も駅係員の仕事です。
一定期間の間、駅で保管した後、「忘れ物センター」などに集約されます。持ち主が判明した時は連絡したり、落とした人からの問い合わせ対応を行います。
また、管理職の場合は、勤務シフトの作成や調整、日報の作成などの事務作業を行います。
運転取扱い
信号を操作して列車を発車させたり、発車させないよう制御することを「運転取扱い」と言います。
「運転取扱い」は指令機関が一括制御を行っている駅がほとんどですが、一部の駅では「駅長業務」という資格を持った駅係員が「運転取扱い」を行っています。(帽子に赤線が入ってる駅員さんです。)
終日「運転取扱い」を実施している駅もあれば、夜間の工事や入換作業時に「運転取扱い」を行う駅もあります。
一般的な「駅長」と、運転取扱い上の「駅長」は、意味合いが異なります。ちょっとややこしいですよね。
駅係員の勤務体系は?
『駅係員』の勤務体系って、一体どんな風になっているのでしょうか?基本的には、シフト勤務制となっています。どんなシフト勤務なのか、詳しく見てみましょう。
一日の勤務時間の一例
『駅係員』は、基本的に泊まり勤務(24時間)です。(担務によっては日勤の場合もあります)以下は、「改札担務」で勤務した場合の一日の勤務時間のイメージです。
朝9:00に出勤したら、まずは点呼(朝礼)からスタートします。前任者から引継ぎを受け、改札業務を行います。12:30にお昼休憩を取り、改札業務を行います。その後の大まかな流れは、夜ご飯休憩 → 改札業務 → 終電が終わったら構内の巡回・戸締りをして、仮眠します。
翌朝は、ホームでの業務を行い、その後券売機を締め切って、交代の人が出勤してきたら業務内容を引き継いで終了、という流れです。
上記のような担務ごとに作業時間が決められたものを「作業ダイヤ」といいます。駅係員は、自分の担務の「作業ダイヤ」に従って仕事を進めていきます。
勤務シフトの一例
『駅係員』の勤務は、基本的には1カ月単位のシフト勤務制です。以下は、勤務サイクルの一例です。
(月) | (火) | (水) | (木) | (金) | (土) | (日) | (月) | (火) | (水) | ・・・ |
泊まり | 明け | 休み | 泊まり | 明け | 泊まり | 明け | 休み | 休み | 泊まり | ・・・ |
基本的には1回泊まり勤務をしたら一日休み、または2回泊まり勤務をして二日休み、という組み合わせになります。(※会社によって異なります。)
2回泊まり勤務が続くことを「2徹」といい、「明日から2徹だからしんどいな~」とか、「やったー、2休(やす)だー!」などという会話がよく飛び交っていました。
泊まり=「テ」、明け=「ヒ」、休み=「ヤ」とも言い、「今、テヒテヒヤヤ の、1個目の テ なんだよね~。」とか言います。・・・訳分かんないっすよね笑
駅係員で大変だったことベスト3
第3位 ○○まみれの酔っ払いさんを介抱
夜、改札業務をしていると「ホームで倒れてる人がいます!」とお客様から申告があり、上司と一緒に駆け付けました。すると、ホームの端にエイリアンか・・・?と見間違うほど、ぬるぬるした生物がうごめいていました。
近づいてみると、ゲ〇にまみれてうずくまっている泥酔したお客様でした。どういう体勢で嘔吐するとそんな状況になるのか不思議でしたが、介抱しようと腕を掴もうにも、ぬるぬるして掴めず、悪臭は凄まじく、上司と一緒に悪戦苦闘しました。(その後、少し休まれてから家族の方が迎えに来られました。)
第2位 自転車に乗って自動改札機を突破
私が勤務していた駅は少々個性の強いお客様が多い地域で、迷惑行為に該当する行動をされる方もおられ、警察に連絡することが度々ありました。
とある男性のお客様は、よく現れては駅員に暴言を吐いたり、コンコースでお酒を飲んで大声を出したりして、駅員の間では有名な要注意人物でした。
ある日、その男性が自転車(ママチャリ)に乗って改札口に現れたので、同僚と注視していたら、何か喚きながら自転車に乗ったまま自動改札機を無理やり通過し、そのままホームへの通路へと漕ぎ出して行きました。
すぐに同僚と協力して身柄を確保し、警察に連絡して連行して頂きました。
第1位 顔を出したらカウンターパンチ
これは私ではなく、先輩の身に起きた事件です。
皆さんは、自動券売機に「呼び出し」ボタンがあるのをご存知でしょうか?操作方法が分からなかったり、質問がある時に係員を呼ぶためのボタンです。そのボタンが押されると、駅係員は券売機の脇にある小窓から「どうされましたか?」と顔を出します。
ある時、呼び出しボタンが押されたので、先輩が小窓から顔を出すと、お客様に首根っこを掴まれ、グーで顔面パンチをお見舞いされました。(酔っ払っておられました。)
私はその場にいなかったのですが、後でしっかり防犯カメラに移った映像を見て、「小窓から顔を出すときは腕で防御しよう・・。」と心に決めました。(幸い先輩は軽傷でした。)
先輩さん、お怪我が大したことなくてほんと良かったわ・・・!
このように、大変なことが多い仕事ですが、もちろんやりがいも大いにあります。たくさんの人たちが利用している鉄道の運行に、自分が携わっていると思うと、職責の大きさを感じます。
他にも、鉄道会社ならではの話を紹介しています。気になった方は、こちらの記事もご覧ください。
駅係員になる方法は?
『駅係員』になるために、必要な資格は特にありません。(「運転取扱い」を行うための「駅長業務」は、入社後に研修等を受けて取得する資格です。)
基本的には、高校、短大、大学、専門学校を卒業して鉄道会社に就職すれば、駅係員になれます。また、最近は多くの鉄道会社が新卒採用だけでなく、契約社員採用や、中途採用なども積極的に採用しています。
気になっている方は、一度希望する鉄道会社の採用ページをチェックしてみましょう。意外と門戸は開いているので、誰にでもチャンスはあります。
駅係員のことが分かる本と映画
『駅係員』のこと、もっと知りたいな~と感じているあなたに、おすすめのコンテンツをご紹介します。
怒鳴られ駅員のメンタル非常ボタン 小さな事件は通常運転です / 綿貫渉
元鉄道員YouTuberの綿貫渉さんによる、駅員の日常を描いたエッセイ本です。
酔っ払い、痴漢、忘れ物、電車遅延、クレーム対応など、思わずうんうんと頷きたくなるほど「駅員あるある」が満載の内容となっています。
鉄道員(ぽっぽや)
駅員さんの映画と言えば、これは外せないのではないでしょうか。
名優・高倉健さんが主演を務めた、名作「鉄道員(ぽっぽや)」です。愛する人を亡くしてどんなにつらい日でも、休むことなくずっと駅に立ち続ける不器用な鉄道員の物語・・・。(いや、自分だったら休むけどな、と思ってしまった。)
「なくなるさ。あっという間に・・・ 原野に戻るさ。」というセリフで鳥肌が立ちました。高倉健さんって、やっぱすげーな涙。
「タブレット閉塞方式」や「腕木式信号機」など、鉄道好きな人にはたまらない珍しい設備も登場します。一見の価値ありです。
「幌舞駅」のモデルとなった根室本線の「幾寅駅」に、いつか行ってみたいなぁ~。
広末涼子のセーラー服姿は無敵だな!
まとめ
【鉄道のお仕事紹介】駅係員ってどんな仕事?|○○駅で4年働いた私が解説します! のまとめです。
どうでしょうか、今まで思っていた『駅係員』の仕事内容と大体同じでしたか?
それとも、「えっ、なんか思ってたのと全然違うわ・・・。」って感じでしょうか?
駅という場所はたくさんの人が集まる場所なので、毎日様々な出来事があります。大変な思いもしましたが、駅係員の仕事を通して、とても貴重な経験を得られ、成長することができました。
『駅係員』や『鉄道』の仕事に興味を持って頂けたなら、ぜひ鉄道会社の採用ページをチェックしてみてくださいね。
次回は、他の職種についても書いていきたいと思います。
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