
この題名の映画は見たことがあるな。

その映画の原作になった本だよ。
先日『漁港の肉子ちゃん』の映画を見る機会がありました。アニメの映画なのですが、キャラクターのインパクトやテンポの良さにハマってしまい、しばらく頭の中が「肉子ちゃん」で占領されてしまいました。
「この際、原作本を読んでみよう!」と思い立ち、この『漁港の肉子ちゃん』の本を手に取りました。原作もとても印象に残る素敵な本だったので、ご紹介したいと思います。
この記事を読めば、『漁港の肉子ちゃん』とはどんな本なのか? 作者の西加奈子さんとは、どんな人なのか? ということが分かります。※ネタばれなしで解説しています!
気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 『漁港の肉子ちゃん』の映画を見て原作も気になっている人
- 西加奈子さんって、どんな人か知りたい人
- 「肉子ちゃん」って凄い名前だなと思った人
このブログでは、他にもおすすめの本を紹介しています。「変わりたい」と思っている人は、こちらの本がおすすめです。
『漁港の肉子ちゃん』とは?
『漁港の肉子ちゃん』の、書籍情報について詳しく見てみましょう。
- タイトル 漁港の肉子ちゃん
- 著者 西加奈子さん
- 出版社 幻冬舎
- 発売日 2011年8月31日
- ジャンル フィクション、小説
- 2021年に明石家さんま企画・プロデュースで劇場アニメ作品として映画化された
『漁港の肉子ちゃん』は、2011年に発売され、累計発行部数35万部超のベストセラー小説です。著者は西加奈子さんという方で、第152回直木賞を受賞されています。
私は先に映画の方見て、その時「明石家さんまプロデュース」と銘打っていたので、てっきり明石家さんまさんが原作の話だと思っていました。

さんまさんの実話に基づくストーリーなのか。苦労されたんだな・・・涙(勘違い)
しかし、明石家さんまさんはあくまで映画の企画・プロデュースをされていて、原作は別の方(西加奈子さん)ということが判明しました。(早とちりスミマセン。)
この本の表紙には、裸の女性が寝てる(?)ような絵が描かれていて、「電車で広げて読むの恥ずかしいな~」と思っていました。調べたところ、著者の西加奈子さん自身が描かれたもので、「クリムトの『ダナエ』を独特のタッチで再現している」のだそうです。(ウィキペディアより)
絵画の知識が乏しく、何も知らなくて申し訳ない気持ちになりました💦小説を執筆して直木賞を受賞され、味わいのある絵まで描いてしまう西加奈子さんのことが気になったので、調べてみました。

俳優やミュージシャンなど、才能のある人は多才である場合が多いぞ。
著者の西加奈子さんとは?

著者の西加奈子さんは、1977年生まれの大阪育ちの小説家さんです。「へ~、関西の方なんだ~。」と勝手に親近感を感じていたら、気になる情報を見つけました。
父の海外赴任地イランのテヘランに生まれ、イラン革命が起きた2歳のときに帰国。次いで、小学1年生から4年生までをエジプト・カイロで過ごし、帰国後は大阪府和泉市で育つ。
(ウィキペディアより)
なんと、イランのご出身だったのですね。(イランって、どの辺だっけ・・・?💦)しかもその後エジプトにも行かれているとのことで、驚きました。人とは違う視野や感性は、この頃の影響もあるのかもしれないですね。
その後、25歳くらいから短編小説を書き始め、2004年に『あおい』という作品でデビューされました。そして、2015年に作家生活10周年を記念して出版した『サラバ!』で、直木賞を受賞されています。
『漁港の肉子ちゃん』以外にも、数々の作品を世に送り出されてきた西加奈子さん。他の作品もめちゃめちゃ気になってきたので、ぜひ読んでみたいと思います。

西加奈子さんのおすすめの作品があれば、そっと教えて欲しいです!
『漁港の肉子ちゃん』のあらすじと登場人物

『漁港の肉子ちゃん』のあらすじと、登場人物について見ていきましょう。
ざっくりとしたあらすじ
『漁港の肉子ちゃん』は、太っていて「肉の神様」のような肉肉しい体系の女性「肉子ちゃん」と、逆に凄く細くて痩せている小学校5年生の女の子「キクりん」、この2人の親子の物語です。
肉子ちゃんは小さいころから家庭環境に恵まれず、若い頃からスナックで働き出した、苦労している女性です。とにかく優しくて人を疑うことを知らず、数々のクズ男によって借金を背負わされたり、騙されてボロボロになりながら生きていました。
自称小説家の男と一緒に暮らしていた時、「故郷で死ぬ」と書き置きを残して消えた男を追って、娘のキクりんを連れて北陸を目指しました。自称小説家の男は見つからなかったけど、たどり着いた港で暮らすことにしました。肉子ちゃん35歳、キクりん8歳の時でした。
それから3年が経ち、小さな町での母娘二人暮らしは、大変なこともあったものの、毎日賑やかに楽しく暮らしていました。11歳になり思春期を迎えたキクりんは、友達との関係や肉子ちゃんとの生活に悩むようになっていきます。
そんな肉子ちゃんと娘のキクりんの2人を中心に、小さな漁港の町の人々との関係や成長を描いた物語となっています。
登場人物
- 肉子ちゃん(本名:見須子 菊子)
- 7月3日生まれの38歳。151センチ・体重は67.4キロで「憩い、空しい、やで!」と語呂を合わせるのが好き。太っているので皆から「肉子ちゃん」と呼ばれている。幾人もの男に騙されて各地を転々とした後、キクりんを連れて漁港で暮らし始める。底抜けに明るい性格で関西弁を話す。
- キクりん(本名:見須子 喜久子)
- 肉子ちゃんの娘で小学5年生の読書が好きな女の子。くるみのような大きくて薄い色の目、茶色くてくるくるした髪の毛で、可愛らしい容姿をしている。痩せていて手足が長く、ハーフの男の子に間違えられたことがある。動物や部屋の小物などが喋る言葉が聞こえる。
- 肉子ちゃんの娘で小学5年生の読書が好きな女の子。くるみのような大きくて薄い色の目、茶色くてくるくるした髪の毛で、可愛らしい容姿をしている。痩せていて手足が長く、ハーフの男の子に間違えられたことがある。動物や部屋の小物などが喋る言葉が聞こえる。
- サッサン
- 漁港にある焼き肉屋「うをがし」の店主。奥さんを亡くして店を畳もうとしていたところ、現れた「肉の神様」のような肉子ちゃんを雇った。店の裏の小さな平屋を「決してお腹を壊してはならぬ」という条件付きで、肉子ちゃん親子に格安で貸している。
- 漁港にある焼き肉屋「うをがし」の店主。奥さんを亡くして店を畳もうとしていたところ、現れた「肉の神様」のような肉子ちゃんを雇った。店の裏の小さな平屋を「決してお腹を壊してはならぬ」という条件付きで、肉子ちゃん親子に格安で貸している。
- マリア
- キクりんの親友で同じクラスの女の子。裕福な洋館の家に住み、ポニーテールの髪にワンピース、レースの靴下など、いつも可愛らしい格好をしている。昼休みにバスケットボールをする女子のグループを分裂させようとしたことで、孤立してしまう。
- キクりんの親友で同じクラスの女の子。裕福な洋館の家に住み、ポニーテールの髪にワンピース、レースの靴下など、いつも可愛らしい格好をしている。昼休みにバスケットボールをする女子のグループを分裂させようとしたことで、孤立してしまう。
- 二宮
- 隣のクラスの男の子。マリアとキクりんが下校する時に、同じクラスの桜井・松本と一緒に後をついていく。目つきが暗くて無口で、突発的に変な顔をする癖がある。変顔の癖に気付いたキクりんと親しくなる。
- 隣のクラスの男の子。マリアとキクりんが下校する時に、同じクラスの桜井・松本と一緒に後をついていく。目つきが暗くて無口で、突発的に変な顔をする癖がある。変顔の癖に気付いたキクりんと親しくなる。
主な登場人物はこの5人です。主人公の「肉子ちゃん」と「キクりん」は、「菊子」と「喜久子」、漢字は違うけど同じ「キクコ」という名前なんですよね。親子なのに同じ名前って不思議ですよね。まぁ、何かあるんでしょうねぇ・・・。
他にも魅力的なキャラクターがたくさん出てくるのですが、気になった方はぜひ実際に読んでみてくださいね。

自分は「鍵屋のマキさん」が格好良くて結構お気に入りです。(映画には出てこないキャラです。)
『漁港の肉子ちゃん』の印象に残っているもの3つ

『漁港の肉子ちゃん』のお話の中で、私が特に印象に残っている部分を3つご紹介します。
肉子ちゃんがパワフルで明るくてピュア
とにかく肉子ちゃんのキャラのインパクトが凄いです。本の中でキクりんが肉子ちゃんの特徴をたくさん挙げているのですが、その一部は次のようなものです。
- どこに住んでも「大阪でいうところの」という話をする
- 服装のセンスがない(ぶかぶかのTシャツ、蛍光色のパーカー、ジーンズの模様が描かれたスパッツ、など)
- 前髪を薄くおろしていて、おろす作業が鬱陶しい
- いびきは「すごーい・・・すごーい。」
- 不倫相手の奥さんと仲良くなった明るいデブ(言い方・・・!笑)
このように、肉子ちゃんのキャラがまぁ濃ゆいです。セリフは基本的に「!」とか「っ!」で終わっているので、騒々しい感じが目に見えるようです。底抜けに明るい愛されキャラの肉子ちゃんが、物語に明るくて優しい色を与えているなぁと感じました。
果たして、肉子ちゃんにはモデルとなる人物はいたのでしょうか?なぜ肉子ちゃんがこんなおもろいキャラになったのか、とても気になります。
クラスの女の子の描写がリアル
キクりんと同じクラスの女の子たちが複数人(10人ぐらい?)登場するのですが、その子たちの描写がいかにも小学校5年生ぐらいの子がやってそうな行動で、「うわー」と思いました笑。
10分の休み時間にトイレに行くのに数人で一緒に行くとか、昼休みにバスケをするけど何故かバスケしない子も近くで座って見てる・・・とか、ありそうやなーって情景が目に浮かびました。
この昼休みのバスケのチーム決めを巡って、マリアちゃんはクラスの女子から孤立してしまい、キクりんとも疎遠になってしまいます。いつもマリアちゃんと一緒にいたのに、違う女の子と一緒にいる所をじろじろ見てくる男子に腹を立てるキクりん。
私がマリアちゃんと一緒にいないことを、どう思っているのだろうか。何故だか急に、谷中に腹が立った。のんきな奴め、と思った。
『漁港の肉子ちゃん』より引用
なんかもう、学校の女の子のグループとか、この年頃の女の子の心境とか、自分の昔の記憶もぐわーっと混ざって「あーっ、もう!」って感情が湧いてきました。(肉子ちゃんみたいな表現になってる笑)
みうの仕事の描写がリアル
物語の後半に「みう」という女性が登場します。彼女は水商売をして生計を立てており、その後風俗でも働くようになります。仕事場での出来事を淡々と、生々しく描写されていて、急に物語の雰囲気が変わるところがあります。
最初にアニメ映画を見て、かつ主人公のキクりんはまだ子どもということもあり、なんとなく「子ども向けのお話」なんだと思っていました。でも、この後半部分でその考えは覆されました。これが西加奈子さんワールドなのでしょうか、いい意味で「裏切られた」気分になりました笑。
この「みう」という女性は、肉子ちゃんとキクりんにとって、とても重要な人物だったりします。さて、この人は何者なのか?、気になる人は読んでみてくださいね。

・・・気になるじゃぁないか。
『漁港の肉子ちゃん』を読んだ感想

肉子ちゃんという女性は、本当ににピュアでパワフルな38歳だなと思いました。現実の世界には、こんな人はなかなかいないと思いますが、肉子ちゃんみたいな人が働いている焼肉屋さんがあったらぜひ行ってみたいです。(絶対美味しいお店だと思う。)
今まで散々苦労してきた肉子ちゃんと、まだまだ子どもなのに、遠慮して大人になろうとしてしまうキクりん。サッサンをはじめとする心優しい町の人達の中で、この先はどうか幸せに暮らしていって欲しいなと思いました。
そして、これからも色んな頭を悩ませることがあろうとも、この2人なら大丈夫。きっと乗り越えていける、そう思わせてくれました。優しい気持ちを与えてくれた本でした。
『漁港の肉子ちゃん』を読む方法

『漁港の肉子ちゃん』は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでそれぞれ購入可能です。
日頃から使っているサイトで購入すれば、初期登録は不要でポイントも貯まるので、便利でお得です。
まとめ

『漁港の肉子ちゃん』を読んだ感想|優しい気持ちになれる本っ! のまとめです。
- 『漁港の肉子ちゃん』は、2011年に発売された累計発行部数35万部超のベストセラー小説
- 著者は第152回直木賞を受賞され、イラン出身の西加奈子さん
- 『漁港の肉子ちゃん』は、太っていて明るくて愛されキャラの肉子ちゃんと、痩せてて賢くて可愛いキクりん、2人の親子の物語
- 『漁港の肉子ちゃん』は、アニメ映画とは違ってリアルな描写があり、引き込まれる内容となっている
- 『漁港の肉子ちゃん』を読むと、少し優しい気持ちになれる
アニメ映画とはまた違った魅力のある『漁港の肉子ちゃん』の原作本でした。西加奈子さんワールドに見事に引き込まれてしまいました。
「どんな結末なのか気になる~。」という方は、ぜひ読んでみてくださいね。
次は、西加奈子さんの別の本を読んでみたいと思います。
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